岐阜県では美濃加茂市に次いで、県下第2位の生産量を誇るのが「にしみのブランド」のナシです。産地は「水の都」として知られる大垣市で、約20ヘクタールで栽培されています。
栽培品種は人気の高い「幸水」が6割を占め、「豊水」「新高」などが栽培され、7月下旬から9月下旬まで出荷されています。
平成13年には害虫の交信をかく乱するフェロモン資材の使用を始め、平成16年には「ぎふクリーン農業」の認証を取得するなど、安全・安心なナシ栽培に取り組んでいます。毎年1回、品評会が行われ、生産者は栽培技術に磨きをかけています。
管内では、県内でも珍しいナシのハウス栽培が行われています。今では一戸だけになってしまいましたが、ハウス栽培のため、他のナシ農家より1カ月ほど早い7月上旬に収穫できるのが特徴です。一足早く夏の味覚が味わえると人気を集めています。
このハウス栽培では、平成21年産から、ハダニ類の天敵であるミヤコカブリダニを利用した防除を導入。より安全・安心なナシ生産に向け、新たな技術の導入を図っています。
大垣市では、県農業技術センターとの契約で、平成17年からの5年間、県内で初めて「なつしずく」の試験栽培を行っています。「なつしずく」は「幸水」より1週間ほど早く収穫できる早生の青ナシで、果実の大きさや糖度は「幸水」と同じくらい、肉質が柔らかでみずみずしく、さわやかな香りが楽しめます。
「なつしずく」「幸水」「豊水」の順に収穫時期が訪れるため、生産者には作業の分散につながるメリットが、消費者には品種ごとの食感や味覚の違いを楽しめるメリットがあります。
産地では平成19年から品種導入が進み、苗木が大きくなる数年後には本格的な出荷が期待されています。
ナシの花が意外にきれいだとは、案外知られていないもの。桜の花から1週間ほど遅れて4月下旬ごろに開花し、真っ白で可憐な花が咲き乱れます。
この開花の時期は、ナシ農家にとっては受粉作業をする忙しい時期でもあります。すべて手作業で一つ一つの花に花粉をつけていきます。手間をかけながら、品質のよいナシの生産に励んでいます。